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谷川…生月島では昨年十一月、捕鯨を中心とした漁業と隠れキリシタンの資料を集めた「島の館」が開館しました。特に隠れキリシタンの資料の公開は全国でも珍しく貴重です。未だに秘密のべールに包まれた行事や儀礼は少なくありません。生月島は今回で四度足を踏み入れたことになります。最初は一九七〇年に平戸から船で、つぎは一九八〇年には薄香からやはり船で来ました。四年前に来た時は平戸島と生月島を結ぶ生月大橋は架かっていまして、今回もこの橋を渡ってきたわけですが、今までの印象が随分変わってきました。今日いらしていただきました、牛月島の堺目で、先祖代々「ツモト」を務めている鳥山泰隆さんと元触に住んでキリシタンの信仰を受け継いでいる田淵俊雄さんから、隠れキリシタンの組織、習俗、信仰についてお聞きしようと思います。信仰自体橋が架けられる前と後では変わってきましたでしょうか。
田淵…私の集落は元触といいます。橋が架かったからというわけではありませんが、若い人は受け継ぐのは難しいと言います。仕事(出稼ぎ)の都合で面倒臭いというのでしょうか。ですから継承していく若い人の考えで省くことかできるものは省いていくので、年々歳々行事が省略化していくような気がします。
鳥山…この宗教に対する若い人の評価は、とにかく厳しいと言う。そしてなるだけなら離れようとする気持があるのではないでしょうか。
谷川…若い人が、この信仰が厳しいとい

 

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上・御前様(納戸神様)掛軸「聖母子」。日本風の出で立ちになっている聖母子[山田]
下右・御前様(納戸神様)メダリヨン「無原罪の聖母」。同形のメダリヨンは、三俣俊二氏によると国内に六枚確認されている[堺目J家]
下左・御前様(納戸神様)メダイ「フランシスコ・ザビエル」。人物像の横に「XAVERIVS」の文字がはっきりと確認できる[山田]

 

 

 

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